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下着市場の変遷

90年代から海外生産の低価格商品が盛んに出回るようになり、21世紀にもなると、百円均一価格のショップにもブラジャーやショーツが並ぶ。国内の女性下着市場全体の低価格志向が進み、婦人下着の国内販売額は1998年度の4740億円(『日経産業新聞』1999年7月29日付)に達して以来、金額においても減少傾向が続いている。ここ数年は景気低迷を受けた消費者の節約志向もあいまって、2009年度は3640億円(『日経産業新聞』2010年8月12日付)にまで落ち込んだ。メーカー側の懸命な努力にもかかわらず、その結果が報われているとはいえない。一方で、女性たちはインナーウェアの外観にも強くこだわるようになってきた。そもそも、下着は、基本的に見えない被服である。通常、下着を他の人に見せることはないし、自分の下着姿を鏡に映して見ることも、たとえば入浴とかスポーツの機会に着替えるといった、一日の中でごく限られた時間に過ぎない。それゆえ、下着に関しては、まず体型の補整機能や、つけ心地の良さなど、機能面での工夫が重要であり、下着メーカーとしても、それらに関する科学的ノウハウを蓄えて製品化し、消費者にアピールしてきた。しかしその半面、製品の機能やつけ心地とは別に、情緒的なデザインやイメージを追求した下着が店頭を華やかに彩り、カタログやネットによる通信販売でも、驚くほど個性的で、派手な、あるいは刺激的なデザインがひしめくようになったことも事実だ。一部には、見た目を重視するあまり素材の品質や機能性を軽視した商品も出回り、それが下着の低価格化を助長している点も否めない。ここ十数年は、そうした傾向が加速しているようだ。国内の女性下着市場は、いまや成熟を通り越し、爛熟ともいえる状況を迎えているように見える。こうした動きは何を意味するのだろうか。下着の定義が多様化し、アウターウェアとの境目があいまい化しているのだろうか。あるいは、女性たちの感性が多様化し、こだわりの実態がつかみにくくなっているのであろうか。女性は下着のどのようなところに、どれほど強くこだわっているのか。その心の奥底を知ることは、メーカー側にとっても重要な課題であることがよくわかる。

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