私たちは、ふだんごく当たり前に「ブランド品」「一流ブランド」などと日常会話に使っている。雑誌では「人気タレントのお気に入りブランド」などといった特集をよく見かける。しかし、ブランドとはそもそも何?とあらためて聞かれて、正確に答えられる人が何人いるだろうか。ブランドは、アルファベットでつづればBRANDで、BURN(バーン)と語源は同じである。つまり、「燃える」「焼き焦がす」という動詞から生まれた言葉が、「焼き印」を意味するようになり、この焼き印が「目印」となったところから転じて「商標(トレードマーク)、銘柄」をあらわすようになった言葉だ。この焼き印による目印は、最初は農場などが、所有する家畜につけていた。ただ所有権をはっきりさせるというだけでなく、この焼き印のある家畜は「ほかより優れた存在である」と、差別化されるものでもあった。つまりブランドとは、その商品がどこでつくられ誰が売っているかをあらわす、会社の名称やその商品の機能を示す記号や、マークなどのデザイン。あるいは、それらの組み合わせを指していることになり、商標や銘柄で、他社の商品と区別をはかるために設けられたもの、ということができる。ところが、差別化のために商品の存在価値をよりはっきりさせようとしたり、品質を保証するという意味合いがブランドにこめられるようになり、また、経済の発展とともに生まれた高級志向が、ブランドの意味合いを変化させていった。 ようするに、イメージアップである。「この商品を使う人は、選ばれた人」という、本来の用途や機能とは別の要素を、人々はブランドに求めるようになっていく。海外では「このブランドはいいものだ」という評価は、使っているうちに生まれることも多いが、日本では「選ばれた人」という付加価値のほうが優先して、満足感や優越感を得るブランド信仰という状況も生まれている。メーカー側からすれば、マーケティングのための差別化がブランドの設定で、そもそもブランドのない商品などないはずなのに、消費者の側ではノンブランド商品などという言葉も生まれている。ブランドそのものの差別化かおこなわれているということになりそうだ。